銀行員の仕事ぶり
また、利用者が足を踏み入れるや、ガードマンから窓口の行員までがいっせいに「いらっしゃいませ」と言う、日本では当たり前のセリフ(「ベンヴェヌート」)を耳にしようものなら、イタリア人はみなショック死でもしかねないだろう。なんせ、「ボンジョルノ」「ボナセラ」の挨拶だって、こちらから告げて初めて応答がなされるのだから。銀行員の仕事ぶりのスローモーなことも言語に絶する。観光で訪れたイタリアで換金の際、何十分も待たされてイライラという体験のある方が少なくないはず。キチンと日々のレートが表示されているのに、なぜもかくのごとく時間がかかるのか。こんなシンプルな作業、他にないではないか。ある日本の知人が訪伊の際、ミラノ中央駅近くの銀行へトラベラーズチェックの換金に行き、私も同行した。開店世後の時間帯のためか、利用者はごく少数。換金の窓口も、我われの前に一組いただけだ。それなのに、換金のために要したのは約四十分。日頃は温厚な知人も、さすがに憮然たる表情を隠せなかった。無理もない。一回の旅行中に、こんなことを何回も体験していたんだから。旅行中の費用総額を一度で換金するのは無理。銀行により、換金限度額が定められており、現金の場合、二百万リラ(約十四万円)だったり、多くても三百万リラ(約二十一万円)まで。トラベラーズチェックはもっとひどく、ある銀行では百万リラ(約七万円)までと言われた。
美しくない女性への対応
美しいモデルにしもべのごとくかしずいていたその銀行員。握手までしてモデルと別れたその後の豹変ぶりといったら、いま思い出してもおかしくなるほど。あまりのギャップに、彼が別人に感じられた。それまでのいやらしい笑顔はみごとに消え、無愛想に、そしていかにもいやいや、中年太めのオバさんの相手を始めた銀行員。そこまで差をつけることないじゃん、と直接には関係ない私も腹立たしさが芽ばえてきた。でも、オバさんは表精ひとつ変えない。ごく普通の物腰で接している。「ダメなのよ、それじゃ。なんかひとこと、ガツンと言ってやらなくちゃ」とムカつく私。バカですね~え、他人のことに。ま、オバさんだって、コメントのしょうがありませんよね。「失礼ね、あなた。きれいな人にばかり親切で」なんて言うのもナンだし。気にせず、「どうせイタリアの銀行員なんか、人間性なしのアホぞろいなんだから」と、無視するしかないのでしょう。ところで、ミラノのスカラ座そばの「イタリア商業銀行」って楽しい。ちょっとしたパラッツォ(宮殿)なみに美しい内部、そしてスノッブなムードもチラホラ。
